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2025.09.12

インビザラインファーストとプレオルソの違い〜選び方ガイド

インビザラインファーストとプレオルソの違いを解説

小学生のお子さんの歯並びが気になり始めたら、早めの矯正治療を検討される方も多いでしょう。近年、子どもの矯正治療では「インビザラインファースト」と「プレオルソ」という2つのマウスピース型矯正装置が注目を集めています。どちらも透明で取り外し可能な装置ですが、適応年齢や治療方法、効果には大きな違いがあります。

今回は歯科医院院長として、この2つの装置の特徴と違いを詳しく解説し、お子さんに合った選び方をご紹介します。将来の歯並びに大きく影響する大切な選択をサポートします。

インビザラインファーストとプレオルソの基本的な違い

まず、この2つの装置の基本的な違いを押さえておきましょう。

インビザラインファーストは、7〜10歳頃の小学生を対象とした透明なマウスピース型矯正装置です。アライン・テクノロジー社が提供する製品で、3Dシミュレーションに基づいて一人ひとりに合わせて作製されます。歯列拡大と前歯の整列を同時に行うことができる特徴があります。

一方、プレオルソは上下一体型の青色をしたマウスピース装置で、スポーツ用マウスガードに近い見た目です。口腔機能や歯列、顎位の改善を目的としており、お口周りの筋肉を鍛えたり、舌の使い方を訓練したりする機能も備えています。適応年齢はインビザラインファーストよりも幅広く、5〜12歳くらいまでとされています。

では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?

適応症の違い

インビザラインファーストとプレオルソは、それぞれ得意とする症例が異なります。

インビザラインファーストは、「開咬」「叢生(歯のガタガタ)」「空隙歯列(すきっ歯)」などの症例に適しています。個々の歯を直接動かすことができるため、歯の捻じれがある場合や、細かい歯の位置調整が必要な場合に効果的です。

プレオルソは、「上顎前突(出っ歯)」「反対咬合(受け口)」「過蓋咬合(深いかみ合わせ)」などの症例に向いています。上下一体型の装置であるため、前後の顎の関係を改善するのに効果的です。

どう思いますか?お子さんの歯並びの状態によって、選ぶべき装置が変わってくるのです。

作用メカニズムの違い

両装置は「噛む」ことで矯正力が働く仕組みですが、その作用メカニズムは大きく異なります。

インビザラインファーストは、コンピュータでシミュレーションした通りに歯を直接動かします。少しずつ幅の大きいマウスピースに交換していくことで歯列を拡大し、個々の歯の位置も細かく調整できます。

一方、プレオルソは装着すると前歯部分を強く噛む形になるため、前歯が歯茎方向に沈んでいきます。また、歯並びの拡大を阻害する頬や唇の筋肉の圧力をコントロールして間接的に歯を動かす特徴があります。そのため、拡大スピードはインビザラインファーストよりもゆっくりになります。

この作用の違いが、それぞれの装置が得意とする症例の違いにつながっているのです。

使用方法と装着時間の違い

お子さんの生活スタイルや性格によって、どちらの装置が合うかも変わってきます。使用方法と装着時間の違いを見ていきましょう。

インビザラインファーストの使用方法

インビザラインファーストは1日20時間以上の装着が必要です。これは就寝時だけでなく、日中も装着する必要があることを意味します。食事と歯磨きの時だけ外すという使い方になります。

マウスピースは1週間ごとに新しいものに交換していきます。定期的な通院は1.5〜2ヶ月ごとと比較的少なめで、保護者の方の負担も軽減されます。

ただし、装着時間を守れるかどうかがとても重要です。「歯並びを治したい」というお子さん自身のモチベーションが治療成功の鍵となります。

プレオルソの使用方法

プレオルソは日中に1時間装着し、あとは就寝時のみの使用となります。学校に行く時は外しておくことができるため、日常生活への影響は最小限です。

インビザラインファーストと比べると装着時間が短いため、お子さんの負担は少なくなります。ただし、お口の筋力のトレーニング要素が含まれているため、少々違和感が強く、合わないお子さんもいます。また、重度の鼻閉の方の場合は、呼吸が困難で使用できないケースもあります。

どちらを選ぶかは、お子さんが長時間装着できるかどうか、また違和感に対する耐性などを考慮して決める必要があります。

プレオルソに関しては下記ブログもご覧ください。

治療期間と費用の比較

矯正治療を検討する際に気になるのが、治療期間と費用ではないでしょうか。両装置の違いを見ていきましょう。

インビザラインファーストの治療期間と費用

インビザラインファーストでの矯正期間は、最大1年半となっています。これは、マウスピースが作成できる契約期間が1年半と限られているためです。その後も永久歯が生えそろうまでは、リテーナー(保定装置)を使用して経過観察が必要となります。

費用は、当院では合計50万円+税(インビザラインファースト45万円+税、保定装置5万円+税)となっています。また、調整費として5,000円+税が別途かかります。

従来の1期治療よりも高額ですが、透明で目立たない、痛みが少ない、歯磨きが容易といったメリットがあります。

プレオルソの治療期間と費用

プレオルソの治療期間は個人差がありますが、一般的には1〜2年程度です。インビザラインファーストと同様に、その後も永久歯が生えそろうまでは経過観察が必要です。

費用はクリニックによって異なりますが、インビザラインファーストよりも安価な場合が多いです。

治療費の違いは大きいですが、お子さんの歯並びの状態や治療目標によって、どちらが適しているかは変わってきます。費用だけで判断するのではなく、お子さんに最適な治療法を選ぶことが大切です。

それぞれの装置のメリット・デメリット

ここまでの説明を踏まえて、インビザラインファーストとプレオルソのメリット・デメリットをまとめてみましょう。

インビザラインファーストのメリット

インビザラインファーストの最大のメリットは、透明で目立たないことです。装置の見た目を気にするお子さんでも抵抗なく使用できます。また、取り外し可能なので歯磨きが容易で、虫歯のリスクを軽減できます。

さらに、3Dシミュレーションによる治療計画で、治療後の歯並びを事前に確認できる点も大きなメリットです。歯列拡大と前歯の整列を同時に行えるため、治療期間の短縮も期待できます。

通院頻度も1.5〜2ヶ月ごとと少なめで、保護者の方の負担も軽減されます。

インビザラインファーストのデメリット

一方で、1日20時間の装着が必要なため、お子さんのモチベーションが続かないと効果が出にくいというデメリットがあります。また、歯並びや年齢によっては適応できない場合もあります。

マウスピースの作成可能期間が1年半と限られているため、それ以降は他の装置に切り替える必要があります。また、従来の1期治療よりも高額です。

さらに、薬機法対象外の装置であるため、医薬品副作用救済制度の対象外となる場合があることも知っておく必要があります。

プレオルソのメリット

プレオルソは装着時間が短く、就寝時と日中1時間のみの使用で済むため、お子さんの負担が少ないというメリットがあります。学校生活にも影響しません。

また、お口周りの筋肉を鍛えたり、舌の使い方を訓練したりする機能も備えているため、口腔機能の改善も期待できます。費用もインビザラインファーストよりも安価な場合が多いです。

上下一体型の装置であるため、出っ歯や受け口などの前後関係の問題に効果的です。

プレオルソのデメリット

プレオルソは青色の装置で目立つため、見た目を気にするお子さんには抵抗があるかもしれません。また、違和感が強く、合わないお子さんもいます。

重度の鼻閉の方の場合は、呼吸が困難で使用できないケースもあります。また、歯列拡大のスピードはインビザラインファーストよりもゆっくりです。

個々の歯の細かい位置調整には不向きで、捻じれがある歯並びを治すことは難しいという限界もあります。

お子さんに合った選び方のポイント

ここまでの違いを踏まえて、お子さんに合った装置を選ぶポイントをご紹介します。

歯並びの状態で選ぶ

まず最も重要なのは、お子さんの歯並びの状態です。

「開咬」「叢生(歯のガタガタ)」「空隙歯列(すきっ歯)」の場合は、インビザラインファーストが適しています。個々の歯を直接動かせるため、細かい調整が可能です。

一方、「上顎前突(出っ歯)」「反対咬合(受け口)」「過蓋咬合(深いかみ合わせ)」の場合は、プレオルソが効果的です。上下一体型の装置で前後の顎の関係を改善できます。

お子さんの歯並びについては、まずは歯科医院で診察を受け、専門家の意見を聞くことをおすすめします。

お子さんの性格や生活スタイルで選ぶ

次に考慮すべきは、お子さんの性格や生活スタイルです。

装置の見た目を気にするお子さんや、スポーツや楽器演奏をしているお子さんには、透明で取り外し可能なインビザラインファーストが向いています。

一方、長時間の装着が難しいお子さんや、学校での装着に抵抗があるお子さんには、就寝時と日中1時間のみの使用で済むプレオルソが適しているでしょう。

お子さんのモチベーションや協力度も重要な要素です。インビザラインファーストは1日20時間の装着が必要なため、お子さん自身の「歯並びを治したい」という意欲が不可欠です。

費用と通院負担で選ぶ

費用面では、一般的にプレオルソの方がインビザラインファーストよりも安価です。ご家庭の経済状況も考慮して選ぶことが大切です。

また、通院頻度もポイントの一つです。インビザラインファーストは1.5〜2ヶ月ごとの通院で済みますが、プレオルソは調整のために通院頻度が多くなる場合があります。保護者の方の送迎負担も考慮しましょう。

最終的には、歯科医師との相談の上で、お子さんに最適な治療法を選ぶことが大切です。当院では無料相談も行っていますので、お気軽にご相談ください。

まとめ:早期矯正治療の重要性

インビザラインファーストとプレオルソ、それぞれの特徴と違いについてご紹介してきました。どちらも小学生のお子さんを対象とした矯正装置で、それぞれに適した症例や使用方法があります。

最後に強調したいのは、早期矯正治療の重要性です。7歳頃(小学2年生)から矯正治療を開始することで、顎の骨の成長をコントロールし、将来の抜歯矯正を回避できる可能性が高まります。また、第2期治療(中学生以降の矯正治療)をより短く、より簡単にすることも可能です。

お子さんの歯並びで気になることがあれば、早めに矯正歯科を受診し、専門家に相談することをおすすめします。当院ではお子さんの歯並びに関する無料相談も行っていますので、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。

お子さんの「キレイな歯並び」と「素敵な笑顔」のために、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。アーブル歯科クリニックでは、お子さま一人ひとりに合わせた最適な矯正治療プランをご提案いたします。

著者情報
  • アーブル歯科クリニック 院長 田中 雄一
  • 略歴
  • 2007年日本大学松戸歯学部卒業
  • 2007年日本大学松戸歯学部附属病院 臨床研修医
  • 2008年~2014年一般開業医勤務
  • 2014年アーブル歯科クリニック開院
  • 所属団体
  • 日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座 非常勤
  • 日本口腔インプラント学会
  • 日本顎咬合学会
  • 日本臨床歯周病学会
  • AICインプラント専門医
  • BPSデンチャークリニカル 認定医
  • スウェーデン歯科学会
  • 口腔感染症予防外来認定医
  • POIC研究会 ホームケアアドバイザー認定
  • 私立アスクかなでのもり第二保育園 嘱託医
  • ブレーメン津田沼保育園 嘱託医
  • リトルガーデンインターナショナルスクール新習志野校 嘱託医
  • クニナ奏の杜保育園 嘱託医
  • 習志野市立谷津小学校 学校歯科医
  • 矯正医
  • 田中 慶子
  • 所属団体
  • 日本矯正歯科学会 認定医
  • インビザライン 認定医

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