インビザラインファーストとは?小学生のマウスピース矯正の特徴
インビザラインファーストは、小学生(7〜10歳頃)のお子様を対象とした透明なマウスピース型矯正装置です。従来の矯正装置とは異なり、透明で取り外しが可能な特徴を持っています。
このマウスピース矯正は、装置の見た目が気になるお子様や、虫歯リスクを心配される保護者の方に特におすすめです。透明な装置なので周囲に気づかれにくく、お子様の心理的負担を軽減できます。
マウスピースは1週間ごとに自宅で交換するため、通院の負担が少ないのも大きな魅力です。また、成長期のお子様は矯正装置によりアゴの骨の成長を活性化でき、永久歯の生えるスペースを十分確保できれば、抜歯せずにキレイに歯を並べられる可能性が高まります。
- インビザラインファーストの治療の流れと期間
- インビザラインファーストのメリット〜選ぶべき理由
- インビザラインファーストの注意点とデメリット
- インビザラインファーストの痛みはどの程度?
- 失敗しないクリニック選び7つのポイント
- まとめ:インビザラインファーストで理想の歯並びを
インビザラインファーストの治療の流れと期間
インビザラインファーストの治療は、大きく分けて「第1期治療」と「第2期治療」の2段階で進められます。お子様の成長に合わせた計画的な矯正治療が特徴です。
まず第1期治療では、上顎1番(前歯)が生えた時点で⻭列矯正⽤咬合誘導装置(プレオルソ)による準備矯正を行います。その後、上顎2番が生えたらインビザラインファーストを最大1年半使用します。
具体的な治療の流れは以下の通りです。
- 上顎1番生えたら:⻭列矯正⽤咬合誘導装置(プレオルソ)による準備矯正
- 上顎2番生えたら:インビザラインファーストを最大1年半使用
- 永久歯が生えそろうまで:リテーナー(保定装置)を使用
- 永久歯生えかわり完了時期:必要に応じて「第2期治療」へ
インビザラインファーストの治療期間は最大1年半と限られています。そのため、当院では治療期間以外は従来の1期治療装置(プレオルソやリテーナー)を併用し、永久歯の生えかわり期間全体を管理する総合的なアプローチを採用しています。
7歳頃(小学2年生)から矯正治療を開始することで、将来の第2期治療をより効果的に行えるとされています。早期からの介入により、顎の成長をコントロールし、永久歯が正しく生えるためのスペースを確保することができるのです。
なお、第1期治療は第2期治療を組み合わせた2段階治療が基本となりますが、第2期治療への移行は希望制となっています。お子様の歯並びの状態によっては、第1期治療だけで治療を完了できる可能性もあります。
インビザラインファーストのメリット〜選ぶべき理由
インビザラインファーストには、従来の矯正装置にはない数多くのメリットがあります。お子様とご家族にとって、治療を快適に進められる理由をご紹介します。
まず最大の特徴は、透明な装置であることです。周囲に気づかれにくいため、お子様の自信を保ちながら矯正治療を進められます。「お友達にからかわれるのが心配」という不安を感じることなく、学校生活を送ることができるでしょう。
見た目と快適性の面でのメリット
- 透明で目立たない装置により、学校生活でも自信を持てる
- 痛みや違和感が少なく、日常生活への影響が最小限
- 金属アレルギーの心配がない
- スポーツや楽器演奏も普段通り楽しめる
また、取り外しができることで、虫歯のリスクを大幅に軽減できます。食事や歯磨きの際に取り外せるため、従来のワイヤー矯正に比べて口腔内を清潔に保ちやすいのです。
お口の健康面でのメリット
- 装置を取り外して食事ができるため、食事制限がない
- 歯磨きが今まで通りできるため、虫歯や歯周病のリスクが低い
- マウスピースは毎週新しいものに交換するため、常に清潔
- 口内炎ができるリスクが少ない
さらに、通院の負担が少ないことも大きなメリットです。1週間ごとのマウスピース交換はご自宅で行うため、定期的な通院は1.5〜2ヶ月ごとと少なめです。これにより、通院費や保護者様の送迎の負担が最小限になります。
何より、成長期のお子様の場合、矯正装置によりアゴの骨の成長を活性化できるため、将来的に抜歯矯正を回避できる可能性が高まります。これは、成長が終了している大人にはできない、子どもの矯正治療の大きなメリットです。
インビザラインファーストの注意点とデメリット
インビザラインファーストには多くのメリットがありますが、いくつかの注意点やデメリットも存在します。治療を検討される際には、これらの点もしっかり理解しておくことが大切です。
最も重要な点は、装置の装着時間です。効果を得るためには1日20時間以上の装着が必要となります。取り外し可能という利点がある一方で、「サボってしまう」というリスクもあるのです。
装着時間と自己管理に関する注意点
- 1日20時間以上の装着が必要
- お子様自身の「歯並びを治したい」というモチベーションが重要
- 保護者様のサポートが治療成功の鍵
また、すべてのお子様に適応できるわけではありません。歯並びの状態や年齢によっては、インビザラインファーストによる治療が適応できない場合もあります。
適応条件と制約に関する注意点
- 第一大臼歯が萌出している
- 切歯のうち少なくとも2歯が2/3以上萌出している
- 少なくとも3/4顎に乳歯または未萌出の永久歯が2歯以上ある
- 小学校高学年では適応できないことが多い
さらに、マウスピースの作成可能期間が1年半と限られていることも重要な点です。成長期のお子様は歯の生えかわりによって歯列の状態が大きく変化し続けるため、長期の管理が必要になります。当院では、インビザラインファースト以外の期間は従来の装置を併用して対応しています。
費用面では、従来の1期治療よりも高額になることも考慮が必要です。インビザラインファースト45万円+税、保定装置5万円+税の合計50万円+税、さらに調整費が5000円+税かかります。
また、インビザラインファーストは海外で制作される装置のため、薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用救済制度の対象外となる場合があることもご理解いただく必要があります。
インビザラインファーストの痛みはどの程度?
矯正治療を検討する際に多くの保護者様が気になるのが、お子様が感じる痛みについてです。インビザラインファーストは、従来のワイヤー矯正に比べて痛みが少ないとされていますが、まったく痛みがないわけではありません。
インビザラインファーストでの痛みの主な原因
- 初めてのアライナー装着時の違和感や締め付け感
- 歯が動く際に発生する圧力による一時的な痛み
- アライナーの交換時(1週間ごと)の違和感
特に初めてマウスピースを装着する際や、新しいマウスピースに交換した直後は、歯に圧力がかかることで軽い痛みや違和感を感じることがあります。しかし、この痛みは通常、数日から1週間程度で慣れていくことが多いです。
マウスピース1枚あたりの歯の移動量が最大でも0.25mmに設定されているため、過度な力がかかりにくく、比較的違和感が少ないのが特徴です。また、ワイヤーを使用していないため、粘膜に当たる痛みや刺さる痛みはなく、口内炎ができることもほとんどありません。
痛みを感じた場合の対策
- 歯科医の指示のもとでの適切な鎮痛剤の使用
- 柔らかい食べ物を選び、咀嚼による衝撃を避ける
- 痛みが強く続く場合は歯科医に相談する
当院では、お子様の痛みに対する不安を軽減するため、丁寧な説明と適切なケアを心がけています。痛みに関する疑問や不安がある場合は、いつでもご相談ください。
失敗しないクリニック選び7つのポイント
インビザラインファーストによる矯正治療を成功させるためには、適切なクリニック選びが非常に重要です。ここでは、失敗しないクリニック選びのための7つのポイントをご紹介します。
1. 矯正治療の専門性と経験
インビザラインファーストは専門的な知識と経験が必要な治療です。日本矯正歯科学会の認定医や、インビザライン認定プロバイダーなど、専門的な資格を持つ歯科医師がいるクリニックを選ぶことが重要です。また、小児矯正の実績が豊富かどうかも確認しましょう。
2. 治療計画の明確さと説明の丁寧さ
治療の流れ、期間、費用などについて、わかりやすく丁寧に説明してくれるクリニックを選びましょう。特に、インビザラインファースト後の管理方法や、第2期治療への移行についても明確に説明してくれることが大切です。
3. 費用の透明性
治療費の内訳や、追加で発生する可能性のある費用について、事前に明確に説明してくれるクリニックを選びましょう。インビザラインファーストの費用に加え、調整費や保定装置の費用なども含めた総額を確認することが重要です。
4. サポート体制の充実度
治療中のトラブルや疑問に対して、迅速に対応してくれるサポート体制が整っているかを確認しましょう。特に、マウスピースの紛失や破損時の対応、痛みが出た場合の対応などが明確になっているクリニックが理想的です。
5. 設備と衛生管理
最新の設備を導入し、適切な衛生管理が行われているクリニックを選びましょう。特に、3Dスキャナーや歯科用CTなど、精密な診断が可能な設備があるかどうかは重要なポイントです。
6. 通いやすさと診療時間
1.5〜2ヶ月ごとの定期的な通院が必要になるため、通いやすい立地にあるクリニックを選ぶことも大切です。また、平日の夕方や土日も診療しているなど、お子様の学校生活に配慮した診療時間を設定しているクリニックが理想的です。
7. 実際の治療例と口コミ
実際の治療例や、患者さんの口コミを確認することも重要です。クリニックのホームページやSNSで治療例を公開している場合は、参考にしてみましょう。また、知人の紹介や口コミサイトの評価も参考になります。
これらのポイントを総合的に考慮し、お子様とご家族にとって最適なクリニックを選ぶことが、インビザラインファーストによる矯正治療を成功させる鍵となります。
まとめ:インビザラインファーストで理想の歯並びを
インビザラインファーストは、小学生のお子様に適した透明なマウスピース型矯正装置として、多くのメリットを提供します。透明で取り外し可能な特性により、お子様の学校生活や日常生活への影響を最小限に抑えながら、効果的な矯正治療が可能です。
特に、7歳頃(小学2年生)から矯正治療を開始することで、顎の成長をコントロールし、将来的な抜歯矯正を回避できる可能性が高まります。また、第2期治療をより短く簡単にできる可能性もあり、長期的な視点でもメリットが大きいと言えるでしょう。
一方で、1日20時間の装着が必要であることや、適応できない場合があること、従来の1期治療よりも高額になることなど、いくつかの注意点もあります。これらを十分に理解した上で、お子様の歯並びの状態や生活スタイルに合わせて検討することが大切です。
クリニック選びにおいては、矯正治療の専門性と経験、治療計画の明確さ、費用の透明性、サポート体制の充実度などを総合的に考慮することが重要です。適切なクリニックでの治療により、お子様の「キレイな歯並び」と「素敵な笑顔」を実現することができるでしょう。
当院では、お子様の歯並びに関するご相談を随時承っております。インビザラインファーストについてさらに詳しく知りたい方や、お子様の歯並びでお悩みの方は、アーブル歯科クリニックお気軽にご相談ください。専門的な知識と経験を活かし、お子様一人ひとりに最適な矯正治療をご提案いたします。
著者情報
- アーブル歯科クリニック 院長 田中 雄一
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略歴
- 2007年日本大学松戸歯学部卒業
- 2007年日本大学松戸歯学部附属病院 臨床研修医
- 2008年~2014年一般開業医勤務
- 2014年アーブル歯科クリニック開院
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所属団体
- 日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座 非常勤
- 日本口腔インプラント学会
- 日本顎咬合学会
- 日本臨床歯周病学会
- AICインプラント専門医
- BPSデンチャークリニカル 認定医
- スウェーデン歯科学会
- 口腔感染症予防外来認定医
- POIC研究会 ホームケアアドバイザー認定
- 私立アスクかなでのもり第二保育園 嘱託医
- ブレーメン津田沼保育園 嘱託医
- リトルガーデンインターナショナルスクール新習志野校 嘱託医
- クニナ奏の杜保育園 嘱託医
- 習志野市立谷津小学校 学校歯科医
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矯正医
- 田中 慶子
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所属団体
- 日本矯正歯科学会 認定医
- インビザライン 認定医