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2025.09.15

インビザラインファーストの副作用と対処法〜知っておくべき事実

インビザラインファーストとは〜小学生のための透明矯正

小学生のお子さまの歯並びが気になり始めたとき、多くの保護者の方は「まだ早いのでは?」と思われるかもしれません。しかし、実は7〜10歳頃の混合歯列期は矯正治療を始める絶好のタイミングなのです。

この時期に適した矯正装置として注目されているのが「インビザラインファースト」です。従来のワイヤー矯正とは異なる、透明なマウスピース型の矯正装置で、見た目の良さから小学生のお子さまにも受け入れられやすい特徴があります。

インビザラインファーストは、上顎1番(前歯)が生えた時点で⻭列矯正⽤咬合誘導装置(プレオルソ)による準備矯正を行い、上顎2番が生えたらマウスピース型矯正装置を最大1年半使用するという治療法です。その後、永久歯が生えそろうまでリテーナー(保定装置)を使用し、永久歯生えかわり完了時期に「第2期治療」に進むという2段階方式を採用しています。

多くの保護者の方が気になるのは、このような早期からの矯正治療に伴う副作用やリスクではないでしょうか。お子さまの健やかな成長のために知っておくべき事実と対処法について、詳しくご説明します。

インビザラインファーストで起こりうる副作用

インビザラインファーストは比較的新しい矯正方法ですが、他の矯正治療と同様にいくつかの副作用が生じる可能性があります。これらを事前に知っておくことで、適切な対応ができるようになります。

まず知っておきたいのは、どんな矯正治療にも共通する一時的な不快感です。お子さまの歯が動くことで生じる症状について見ていきましょう。

1. 装着初期の違和感や痛み

新しいマウスピースを装着すると、歯に圧力がかかることで軽い痛みや違和感を感じることがあります。これは矯正治療において正常な反応であり、歯が動いている証拠です。

多くの場合、この不快感は2〜3日程度で慣れていきます。新しいマウスピースに交換する際も同様の症状が出ることがありますが、これも治療が計画通り進んでいることを示しています。

痛みが強く感じられる場合は、無理をせず歯科医師に相談しましょう。適切な対処方法をアドバイスいたします。

2. 口内炎や口腔内の刺激

インビザラインファーストのマウスピースは口腔内にぴったりフィットするよう設計されていますが、まれに装着部分が口内の粘膜や舌に触れ、口内炎ができることがあります。

このような場合、マウスピースの縁を調整することで症状を和らげることが可能です。刺激を感じた場合は早めに歯科医院に相談し、必要に応じてマウスピースの形状を調整してもらいましょう。

口内炎ができた場合は、口内を清潔に保ち、症状が改善するまでの間、マウスウォッシュなどでケアすることも効果的です。

3. アレルギー反応

インビザラインファーストのマウスピースは、アレルギーのリスクが非常に低い材料で作られていますが、まれに素材に対してアレルギー反応を示すことがあります。

もし、マウスピースを装着した後に口腔内が腫れたり、かゆみが出る場合は、すぐに歯科医師に相談してください。必要に応じて他の治療オプションを検討することができます。

アレルギー反応が疑われる場合は、使用を一時中断し、専門医の診断を受けることが重要です。お子さまの安全を最優先に考えた対応を行います。

治療過程で注意すべきリスク

インビザラインファーストによる矯正治療は、お子さまの成長期に合わせて行われるため、いくつか特有のリスクや注意点があります。治療を円滑に進めるために、これらを理解しておきましょう。

特に重要なのは、お子さまと保護者の方の協力です。取り外し可能な装置だからこそ、適切な使用が治療成功の鍵となります。

1. 治療期間の延長リスク

インビザラインファーストは1日20時間以上の装着が推奨されています。お子さまがマウスピースを正しく装着しない場合、計画通りに歯が動かず、治療期間が延長されることがあります。

装着時間が短くなると、治療効果が遅れ、再調整が必要になることがあります。お子さま自身が「歯並びを治したい」というモチベーションを維持できるかが、治療を行う上でとても大切です。

また、定期的な通院も重要です。治療の進行を確認するため、1.5〜2ヶ月ごとに歯科医院で診察を受けることが必要です。通院を怠ると、治療計画が予定通りに進まないことがあるため、指示された通院スケジュールを守りましょう。

2. 歯の移動に関するリスク

まれに、治療中に歯が計画通りに動かない場合があります。これにより、追加のマウスピースが必要になったり、治療計画を再調整する必要が出てくることがあります。

このような場合は、歯科医師が適切な対処を行い、治療の調整を行います。お子さまの成長や歯の状態に合わせて、柔軟に対応していくことが大切です。

治療が完了した後も、歯が元の位置に戻らないようにリテーナー(保定装置)を装着することが求められます。リテーナーの使用を怠ると、歯が再び移動し、治療の効果が薄れる可能性があるため、歯科医師の指示に従い、適切にリテーナーを使用することが重要です。

歯と歯茎への影響と対策

インビザラインファーストは、従来のワイヤー矯正に比べて歯や歯茎への負担が少ないとされていますが、まったくリスクがないわけではありません。お子さまの口腔内の健康を守るために、以下のような影響と対策を知っておきましょう。

日々のケアが特に重要になります。マウスピースを取り外せるからこそ、適切な口腔ケアが可能になるのです。

1. 歯茎の健康への影響

インビザラインファーストの治療中に、歯茎が腫れたり出血することがあります。これは歯茎の炎症が原因である可能性があり、治療中の口腔ケアが十分でない場合に起こることがあります。

日々の歯磨きやフロスで歯茎の健康を保ち、問題があれば早めに歯科医師に相談してください。マウスピースを装着する前には必ず歯磨きを行い、清潔な状態を保つことが大切です。

また、マウスピース自体も定期的に洗浄し、清潔に保つことが重要です。専用の洗浄剤を使用するか、歯科医師の指示に従ったケア方法を実践しましょう。

2. 歯根吸収のリスク

まれに、矯正治療によって歯の根が短くなる「歯根吸収」が起こることがあります。このリスクはすべての矯正治療において存在しますが、通常は歯の機能や健康に大きな影響を与えることはありません。

治療中は歯科医師が歯根の状態を定期的に確認し、必要な対処を行います。レントゲン検査などを通じて、お子さまの歯の状態を総合的に評価していきます。

歯根吸収のリスクを最小限に抑えるためには、歯科医師の指示に従い、適切な力で歯を動かすことが重要です。過度な力がかからないよう、マウスピースの交換スケジュールを守りましょう。

インビザラインファーストの効果を最大化する方法

インビザラインファーストによる矯正治療の成功には、お子さまと保護者の方の協力が不可欠です。効果を最大限に引き出し、副作用を最小限に抑えるためのポイントをご紹介します。

お子さまのモチベーションを維持することが、何よりも大切です。楽しみながら続けられる工夫を取り入れてみましょう。

1. 装着時間の確保

インビザラインファーストは1日20時間以上の装着が推奨されています。食事や歯磨きの時間以外は常に装着するよう心がけましょう。

お子さまが装着時間を守れるよう、タイマーを活用したり、装着チェックシートを作成するなどの工夫も効果的です。「頑張ったね」シールを貼るなど、小さな達成感を感じられる仕組みを作ると良いでしょう。

装着時間が足りないと治療効果が十分に得られないため、保護者の方のサポートが重要です。特に小さなお子さまの場合は、日々の装着状況を確認してあげてください。

2. 適切な口腔ケア

マウスピースを装着する前には必ず歯磨きを行い、清潔な状態を保ちましょう。食後にマウスピースをそのまま装着すると、虫歯のリスクが高まります。

また、マウスピース自体も定期的に洗浄することが大切です。専用の洗浄剤を使用するか、歯科医師の指示に従ったケア方法を実践しましょう。

口腔内を清潔に保つことで、不快な臭いや虫歯、歯肉炎などのリスクを減らすことができます。お子さまが自分で適切なケアができるよう、保護者の方がサポートしてあげてください。

3. 定期的な通院

治療の進行を確認するため、1.5〜2ヶ月ごとに歯科医院で診察を受けることが重要です。予約をしっかり守り、気になる点があれば遠慮なく相談しましょう。

定期検診では、歯の動きが計画通りに進んでいるかを確認するだけでなく、お口の健康状態も総合的にチェックします。早期に問題を発見し、対処することで、より良い治療結果につながります。

まとめ〜お子さまの健やかな成長のために

インビザラインファーストは、お子さまの成長期に合わせた効果的な矯正治療法ですが、他の医療行為と同様に副作用やリスクがあることを理解しておくことが大切です。

装着初期の違和感や痛み、口内炎、アレルギー反応などの副作用が生じる可能性があります。また、装着時間不足による治療期間の延長や、歯の移動に関するリスク、歯茎や歯根への影響にも注意が必要です。

これらのリスクを最小限に抑えるためには、装着時間の確保、適切な口腔ケア、定期的な通院が重要です。お子さまと保護者の方の協力があってこそ、治療は成功します。

インビザラインファーストによる矯正治療は、お子さまの将来の歯並びや噛み合わせに大きく影響します。早期に適切な治療を行うことで、将来的な抜歯矯正のリスクを減らし、より健康的な口腔環境を整えることができるでしょう。

お子さまの歯並びでお悩みの方は、まずは矯正歯科医による診断を受けることをおすすめします。お子さま一人ひとりの状態に合わせた最適な治療計画をご提案いたします。

アーブル歯科クリニックでは、インビザラインファーストをはじめとする小児矯正治療に関するご相談を随時承っております。お子さまの健やかな成長と素敵な笑顔のために、専門的な立場からサポートさせていただきます。どんな些細なことでもアーブル歯科クリニックにお気軽にご相談ください。

著者情報
  • アーブル歯科クリニック 院長 田中 雄一
  • 略歴
  • 2007年日本大学松戸歯学部卒業
  • 2007年日本大学松戸歯学部附属病院 臨床研修医
  • 2008年~2014年一般開業医勤務
  • 2014年アーブル歯科クリニック開院
  • 所属団体
  • 日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座 非常勤
  • 日本口腔インプラント学会
  • 日本顎咬合学会
  • 日本臨床歯周病学会
  • AICインプラント専門医
  • BPSデンチャークリニカル 認定医
  • スウェーデン歯科学会
  • 口腔感染症予防外来認定医
  • POIC研究会 ホームケアアドバイザー認定
  • 私立アスクかなでのもり第二保育園 嘱託医
  • ブレーメン津田沼保育園 嘱託医
  • リトルガーデンインターナショナルスクール新習志野校 嘱託医
  • クニナ奏の杜保育園 嘱託医
  • 習志野市立谷津小学校 学校歯科医
  • 矯正医
  • 田中 慶子
  • 所属団体
  • 日本矯正歯科学会 認定医
  • インビザライン 認定医

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