インビザラインファーストが失敗する理由について。
「子どもにインビザラインファーストを検討しているけど、失敗するって聞いたことがある…」
お子さまの歯並びが気になり始めた保護者の方なら、このような不安を抱えていることでしょう。透明なマウスピース型矯正装置「インビザラインファースト」は、従来の矯正装置と比べて目立たず取り外しができるため人気を集めています。
しかし、実際に治療を始める前に「本当に効果があるの?」「失敗することはないの?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
当院では小学生(7〜10歳頃)を対象としたインビザラインファーストによる矯正治療を提供していますが、治療の成功には適切な知識と準備が欠かせません。
- インビザラインファーストとは?基本を理解しよう
- インビザラインファーストが失敗するケースとは?
- 失敗を防ぐための具体的な対策
- インビザラインファーストの成功事例から学ぶ
- インビザラインファーストを検討する際のチェックポイント
- まとめ:インビザラインファーストの成功のために
インビザラインファーストとは?基本を理解しよう
インビザラインファーストは、小学生(7〜10歳頃)のお子さま向けに開発された透明なマウスピース型矯正装置です。従来の矯正装置とは異なり、取り外しが可能で透明なため目立ちにくいという特徴があります。
このマウスピース矯正の主な特徴として、透明で目立たない外観、痛みや違和感が少ない装着感、取り外し可能で歯磨きが容易、通院頻度が少ない(1.5〜2ヶ月ごと)などが挙げられます。また、将来の抜歯矯正を回避できる可能性が高まり、第2期治療をより短く簡単にできる可能性もあります。
治療の流れは、「第1期治療」として上顎1番が生えた時点で歯列矯正用咬合誘導装置(プレオルソ)による準備矯正を行い、上顎2番が生えたらインビザラインファーストを最大1年半使用します。その後、永久歯が生えそろうまでリテーナー(保定装置)を使用し、永久歯生えかわり完了時期に「第2期治療」に進むという2段階方式です。
実は、インビザラインファーストは単なる見た目の改善だけでなく、お子さまの将来の歯並びの土台作りという重要な役割を担っています。顎の成長を活かして歯列を拡大し、永久歯がきれいに並ぶスペースを確保するのです。
インビザラインファーストが失敗するケースとは?
インビザラインファーストは効果的な治療法ですが、いくつかの原因で期待通りの結果が得られないことがあります。主な失敗例を見ていきましょう。
装着時間が不足していた
インビザラインファーストは1日20時間以上の装着が必要です。食事や歯磨き以外の時間はマウスピースを装着し続ける必要があります。
装着時間が不足すると、歯に十分な力がかからず、治療の進行が滞ってしまいます。歯が予定通りに動かなくなったり、後戻りを起こしたりして、治療期間が長引く原因となるのです。
特に小学生のお子さまは自己管理が難しく、保護者の方のサポートが欠かせません。学校での給食後にマウスピースを装着し忘れるケースも少なくありません。
マウスピースの交換を正しく行えていなかった
インビザラインファーストでは、1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換する必要があります。この交換を忘れたり、交換時期がずれたりすると、治療計画通りに歯が動かなくなります。
通院は1〜2ヶ月に一度ですが、マウスピースの交換は自宅で行うため、保護者の方のスケジュール管理が重要になります。交換時期を忘れないようにカレンダーに記入したり、スマートフォンのリマインダーを設定したりするなどの工夫が必要です。
虫歯や歯肉炎になってしまった
マウスピース型矯正装置は取り外し可能なため歯磨きがしやすいという利点がありますが、だからといって虫歯や歯肉炎のリスクがゼロになるわけではありません。
歯磨きやマウスピースの洗浄が不十分なままマウスピースを装着すると、歯とマウスピースの間で細菌が繁殖しやすくなります。その結果、虫歯や歯肉炎になるリスクが高まるのです。
虫歯や歯肉炎になると、その治療を優先するため矯正治療を一時的に中断しなければならなくなり、治療期間が延びる原因になります。
症例が適していなかった
インビザラインファーストには適応条件があります。第一大臼歯が萌出している、切歯のうち少なくとも2歯が2/3以上萌出しているなどの条件を満たしていない場合は治療ができません。
また、顎の骨格に問題がある場合や歯の移動量が多くなる場合では、インビザラインファーストでは十分な効果が得られないことがあります。
失敗を防ぐための具体的な対策
インビザラインファーストで失敗しないためには、いくつかの重要なポイントがあります。これらを押さえることで、治療の成功率を高めることができます。
装着時間を必ず守る
インビザラインファーストの成功の鍵は、1日20時間以上の装着時間を守ることです。食事と歯磨き以外の時間はマウスピースを装着し続けましょう。
お子さまが自分で管理できるよう、タイマーを活用したり、装着時間を記録するチャートを作ったりするのも効果的です。また、学校の先生や保護者の方の協力を得て、給食後にマウスピースを装着するよう声かけをしてもらうことも大切です。
子どもの「歯並びを治したい」というモチベーションを維持するためには、定期的に治療の進捗を確認し、少しでも改善が見られたら褒めることが大切です。目に見える成果を実感できると、装着へのモチベーションも高まります。
マウスピースの交換スケジュールを管理する
マウスピースの交換は治療計画に沿って正確に行いましょう。交換日をカレンダーに記入したり、スマートフォンのアプリでリマインダーを設定したりするなど、忘れないための工夫が必要です。
マウスピースには番号が振られていますので、順番通りに使用することも重要です。交換時期がずれてしまった場合は、自己判断せず必ず歯科医師に相談してください。
あなたは子どもの習慣づけで工夫していることはありますか?
口内とマウスピースを清潔に保つ
虫歯や歯肉炎を予防するためには、毎食後の丁寧な歯磨きと、マウスピースの清潔な管理が欠かせません。
マウスピースは専用の洗浄剤を使用して毎日洗浄し、清潔な状態を保ちましょう。また、マウスピースを外した際は専用ケースに保管し、紛失や破損を防ぐことも重要です。
定期的な歯科検診も欠かさず受けることで、虫歯や歯肉炎の早期発見・早期治療につなげることができます。
歯科医師とのコミュニケーションを大切にする
治療中に気になることや不安なことがあれば、遠慮せず歯科医師に相談しましょう。マウスピースがうまくはまらない、痛みや違和感がある、装着時間が守れないなど、どんな小さなことでも相談することが大切です。
また、定期検診は必ず受診し、治療の進捗状況を確認してもらうことも重要です。問題があれば早期に対応することで、治療の失敗を防ぐことができます。
インビザラインファーストの成功事例から学ぶ
当院でインビザラインファーストによる治療を成功させた事例をご紹介します。これらの事例から、成功のポイントを学んでいきましょう。
8歳女児の前歯のすき間・ガタガタの改善
前歯のすき間とガタガタが気になる8歳の女の子の治療例です。約2年間の治療で、顎がかなり広がり、歯並びが改善しました。
この症例では、お子さま自身が「歯並びを治したい」という強い意欲を持っており、保護者の方も協力的でした。マウスピースの装着時間をしっかり守り、交換スケジュールも正確に管理していたことが成功の要因です。
治療中にマウスピースを数回作り直しましたが、定期的な通院で問題を早期に発見し、対応できたことも良い結果につながりました。
8歳男児の歯並び改善
歯並びの良くない家族が多く、前歯のガタガタが気になる8歳の男の子の治療例です。約1年8ヶ月の治療で、顎が広がり、歯並びが改善しました。
この症例では、前歯だけでなく奥歯も精密に動かすことで、安定した美しい結果を得ることができました。従来型の装置では難しかった左上の6歳臼歯の後方移動も、インビザラインファーストで効果的に行うことができました。
保護者の方がマウスピースの管理をサポートし、お子さまも協力的だったことが成功の鍵となりました。
下記ページからいくつかの症例をご確認いただけます。
インビザラインファーストを検討する際のチェックポイント
インビザラインファーストを検討する際には、以下のポイントをチェックしておくことが大切です。
お子さまの年齢と歯の状態
インビザラインファーストの適応条件を満たしているかどうかを確認しましょう。第一大臼歯が萌出している、切歯のうち少なくとも2歯が2/3以上萌出している、少なくとも3/4顎に乳歯または未萌出の永久歯が2歯以上あるなどの条件があります。
最も適した治療時期は、上下の前歯4本が生え変わった7〜9歳頃です。この時期は新たに永久歯が生えてこない安定した期間なので、効率的に治療を進められます。
お子さまのモチベーション
インビザラインファーストは取り外し可能なため、お子さま自身の「歯並びを治したい」というモチベーションが非常に重要です。治療前にお子さまと十分に話し合い、協力的な姿勢があるかどうかを確認しましょう。
また、保護者の方のサポートも欠かせません。マウスピースの管理や装着時間の確認など、日常的なサポートができるかどうかも検討しておきましょう。
費用と治療期間
インビザラインファーストの費用は、インビザラインファースト45万円+税、保定装置5万円+税の合計50万円+税で、調整費が5000円+税かかります。従来の1期治療よりも高額になることを理解しておきましょう。
また、治療期間は個人差がありますが、インビザラインファーストの使用期間は最大1年半です。その後、永久歯が生えそろうまでリテーナーを使用し、必要に応じて第2期治療に進むことになります。
まとめ:インビザラインファーストの成功のために
インビザラインファーストは、適切に使用すれば効果的な矯正治療法ですが、いくつかの注意点を守ることが成功の鍵となります。
装着時間を守る、マウスピースの交換スケジュールを管理する、口内とマウスピースを清潔に保つ、歯科医師とのコミュニケーションを大切にするなど、日常的な管理が重要です。
また、お子さま自身のモチベーションと保護者の方のサポートも欠かせません。治療前にはお子さまの年齢と歯の状態、モチベーション、費用と治療期間などをしっかり確認し、準備しておきましょう。
当院では、お子さまの歯並びに関するご相談を随時受け付けております。早期からの矯正治療計画を立てることで、将来的な歯並びの問題を予防し、お子さまに「キレイな歯並び」と「素敵な笑顔」を贈りましょう。
インビザラインファーストについてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ一度当院にご相談ください。アーブル歯科クリニックでは、お子さま一人ひとりに合わせた最適な治療プランをご提案いたします。
著者情報
- アーブル歯科クリニック 院長 田中 雄一
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略歴
- 2007年日本大学松戸歯学部卒業
- 2007年日本大学松戸歯学部附属病院 臨床研修医
- 2008年~2014年一般開業医勤務
- 2014年アーブル歯科クリニック開院
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所属団体
- 日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座 非常勤
- 日本口腔インプラント学会
- 日本顎咬合学会
- 日本臨床歯周病学会
- AICインプラント専門医
- BPSデンチャークリニカル 認定医
- スウェーデン歯科学会
- 口腔感染症予防外来認定医
- POIC研究会 ホームケアアドバイザー認定
- 私立アスクかなでのもり第二保育園 嘱託医
- ブレーメン津田沼保育園 嘱託医
- リトルガーデンインターナショナルスクール新習志野校 嘱託医
- クニナ奏の杜保育園 嘱託医
- 習志野市立谷津小学校 学校歯科医
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矯正医
- 田中 慶子
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所属団体
- 日本矯正歯科学会 認定医
- インビザライン 認定医