インビザラインファーストで失敗しないために。
インビザラインファーストは、小学生(7〜10歳頃)のお子さま向けに開発された透明なマウスピース型矯正装置です。従来の矯正装置とは異なり、目立たない透明素材で作られており、取り外しも可能な特徴を持っています。
透明で取り外し可能なインビザラインファーストは、多くの魅力的な特徴を持っています。すべての矯正治療に完璧なものはなく、使用方法を間違ってしまうと失敗するケースも存在します。
ここでは4つのトラブルとその原因を紹介しそれに対する対処方法をご案内していきます。
矯正を始める上で不安なこはありますが、当院でインビザラインを初めて、失敗した例はほとんどありませんので安心して下さい。
- インビザラインファーストで起こるトラブルケース4つ
- インビザラインファーストが向いているお子さんの特徴
- インビザラインファーストを成功させる7つの対策
- インビザラインファーストの費用と治療の流れ
- まとめ:インビザラインファーストを成功させるポイント
インビザラインファーストで起こるトラブルケース4つ
1. 装着時間が不足して効果が出ない
インビザラインファーストの最大の特徴である「取り外せる」という利点が、時に最大の弱点となることがあります。マウスピースは1日20時間の装着が必要ですが、この時間を守れないと計画通りに歯が動きません。
特に小学生のお子さんの場合、自己管理能力にはまだ限界があります。「痛い」「面倒」という理由でマウスピースを外してしまうことも少なくありません。
装着時間が足りないと、治療期間が予定より長引いたり、理想の歯並びにならなかったりするリスクが高まります。
このデメリットは、拡大床という小児矯正方法にも起こるデメリットです。しかし、拡大床より違和感が少なく、痛みが少ないため、ほとんどが装着時間を守ってくれています。
お子さん自身の「歯並びを治したい」というモチベーションが治療成功の鍵となります。
2. マウスピースの交換ミスで予定通りに進まない
インビザラインファーストでは、マウスピースを1〜2週間ごとに自分で交換する必要があります。この交換を忘れたり、順番を間違えたりすると、治療計画が狂ってしまいます。
通院は1.5〜2ヶ月に1回程度と少ないため、その間の自己管理が非常に重要です。交換スケジュールを守れないと、治療期間が延びるだけでなく、歯の動きにも悪影響を及ぼす可能性があります。
拡大床でも1週間に1回ネジを回して自分で拡大する作業を行います。 どこまで回したかきちんと管理しておかないと進み方が変化してしまう場合があります。その点、インビザラインファーストは今使用しているインビザラインファーストの装置に番号が記載してあるため、今どこまで進んでいるかわからなくなることは少なく、実際は交換し忘れたというトラブルはほとんどありません。
3. 虫歯や歯肉炎を併発して治療中断
マウスピース矯正は取り外して歯磨きができるため、虫歯リスクは低いと言われています。しかし、実際には不適切な口腔ケアにより、虫歯や歯肉炎を発症するケースも少なくありません。
特に気をつけたいのが、マウスピースの清潔さです。汚れたマウスピースを装着し続けると、細菌が増殖して口腔内環境が悪化します。
虫歯や歯肉炎が発生すると、矯正治療を一時中断して対処する必要があり、治療期間が延びてしまいます。定期的な歯科検診と丁寧な歯磨き習慣が重要です。
ただ、これらはワイヤー矯正などの全ての矯正治療中に起こるトラブルです。しかし、当院でブラッシング指導など、本人や保護者にアドバイスをしながら進めていきます。実際に虫歯ができやすいということはありませんので安心して下さい。
4. 治療後の後戻りが発生
矯正治療が終わっても油断は禁物です。保定装置(リテーナー)の装着を怠ると、せっかく動かした歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」が起こります。
特に成長期のお子さんは顎の成長に伴い歯列も変化するため、リテーナーの役割が非常に重要です。自己判断でリテーナーの使用をやめてしまうと、後戻りのリスクが高まります。
歯科医師の指示通りにリテーナーを装着し、定期的な経過観察を受けることが、治療結果を長期的に維持するために欠かせません。
インビザラインファーストが向いているお子さんの特徴
インビザラインファーストは万能ではありません。お子さんの性格や歯並びの状態によって、効果に大きな差が出ることがあります。では、どんなお子さんに向いているのでしょうか?
まず、お子さん自身が「歯並びを治したい」という強い意志を持っていることが重要です。取り外し可能な装置なので、自己管理能力とモチベーションが治療成功の鍵を握ります。
装置の見た目を気にするお子さん
透明なマウスピースは、金属の矯正装置と比べて目立ちません。「友達にからかわれたくない」「見た目が気になる」というお子さんには大きなメリットです。
特に学校生活で人間関係を築く重要な時期に、見た目を気にせず自信を持って過ごせる環境を作れることは、お子さんの心理面でも大きなプラスとなります。
虫歯リスクを心配する保護者のお子さん
従来の固定式矯正装置では、装置の周りに食べかすが溜まりやすく、虫歯リスクが高まることがあります。インビザラインファーストは取り外して歯磨きができるため、適切な口腔ケアを行えば虫歯リスクを最小限に抑えられます。
ただし、これは正しい歯磨き習慣があることが前提です。保護者の方による仕上げ磨きや定期的な歯科検診も欠かせません。
年齢と歯の生え変わり状況が適している子
インビザラインファーストは、6〜10歳頃の子どもが対象です。ただし、単に年齢だけでなく、歯の生え変わり状況も重要な条件となります。
具体的には、第一大臼歯が生えていること、前歯が少なくとも2本以上生えていること、乳歯がまだ複数残っていることなどが適応条件となります。
顎の成長時期に合わせて治療を行うため、小学校高学年になると適応できないケースも増えてきます。早めの相談が大切です。
インビザラインファーストを成功させる7つの対策
せっかく始めるインビザラインファースト治療、失敗は避けたいものです。ここでは、治療を成功に導くための7つの具体的な対策をご紹介します。
1. 装着時間を確実に守る習慣づくり
1日20時間という装着時間は必ず守りましょう。食事や歯磨き以外の時間はマウスピースを装着するよう、お子さんと一緒にルールを決めると良いでしょう。
カレンダーやチェックシートを使って装着状況を記録する方法も効果的です。達成できたら小さな褒美を用意するなど、モチベーションを維持する工夫も大切です。
2. マウスピース交換スケジュールの管理
マウスピースの交換は治療計画通りに行うことが重要です。スマートフォンのリマインダー機能やカレンダーアプリを活用して、交換日を忘れないようにしましょう。
交換したマウスピースは捨てずに保管しておくと、万が一紛失した場合のバックアップになります。また、次の通院日には使用済みのマウスピースも持参すると、歯科医師が治療の進行状況を正確に確認できます。
3. 徹底した口腔ケアの習慣化
食後は必ず歯磨きをしてからマウスピースを装着しましょう。歯磨きが不十分なまま装着すると、虫歯のリスクが高まります。
小学生のうちは保護者による仕上げ磨きも大切です。また、マウスピース自体も定期的に洗浄剤で清潔に保つことを忘れないでください。
4. 定期検診を欠かさない
通院頻度は少なくても、予定された検診は必ず受けましょう。歯の動きが計画通りに進んでいるか、口腔内に問題がないかを専門家にチェックしてもらうことが重要です。
また、何か気になることがあれば、次の予約日を待たずに相談することをおすすめします。早期対応が治療の成功につながります。
5. お子さんのモチベーション維持の工夫
長期間の治療を続けるには、お子さん自身のモチベーション維持が欠かせません。治療の進捗を視覚的に確認できるよう、定期的に歯並びの変化を写真に撮るのも良いでしょう。
また、「歯並びが良くなるとどんな良いことがあるか」を具体的に伝え、目標を共有することも大切です。小さな進歩も見逃さず、積極的に褒めることでモチベーションを高めましょう。
6. 保護者のサポート体制の確立
お子さん一人では管理が難しい部分もあります。保護者の方が適切にサポートすることが治療成功の鍵となります。
マウスピースの装着状況を確認したり、交換日を一緒に管理したりするなど、日常的なサポートを行いましょう。また、お子さんが困っていることや不安に思っていることに耳を傾け、必要に応じて歯科医師に相談することも重要です。
7. 保定期間の重要性を理解して実行
治療が終わった後も油断は禁物です。歯科医師の指示に従って保定装置(リテーナー)を装着することが、治療結果を長期的に維持するために不可欠です。
特に成長期のお子さんは顎の成長に伴い歯列も変化するため、定期的な経過観察と適切な保定が重要になります。保定期間をしっかり守ることで、治療の成果を確実なものにしましょう。
インビザラインファーストの費用と治療の流れ
インビザラインファーストを検討する際、気になるのが費用と治療期間です。一般的な治療の流れと費用について解説します。
当院でのインビザラインファースト治療費は、マウスピース代45万円+税、保定装置5万円+税の合計50万円+税となっています。また、調整費として5,000円+税がかかります。
治療の全体的な流れ
インビザラインファーストの治療は、大きく分けて「第1期治療」と「第2期治療」の2段階で進みます。
第1期治療では、上顎1番が生えた時点で歯列矯正用咬合誘導装置(プレオルソ)による準備矯正を行い、上顎2番が生えたらインビザラインファーストを最大1年半使用します。
その後、永久歯が生えそろうまでリテーナー(保定装置)を使用し、永久歯生えかわり完了時期に「第2期治療」に進むという流れです。
治療期間と通院頻度
インビザラインファーストの治療期間は最大1年半と限られています。通院頻度は1.5〜2ヶ月に1回程度と比較的少なめです。
マウスピースは1週間ごとに自宅で交換するため、頻繁に通院する必要がありません。これは、お子さんや保護者の方の負担を軽減する大きなメリットと言えるでしょう。
治療後のメンテナンス
治療完了後は、歯並びを維持するためのリテーナー(保定装置)を使用します。リテーナーの使用期間や方法は、お子さんの歯並びや成長状況によって異なりますので、歯科医師の指示に従いましょう。
また、定期的な経過観察も重要です。特に成長期のお子さんは顎の成長に伴い歯列も変化するため、継続的なチェックが必要となります。
まとめ:インビザラインファーストを成功させるポイント
インビザラインファーストは、透明で取り外し可能なマウスピース型矯正装置として、小学生のお子さんに多くのメリットをもたらします。しかし、その特性ゆえに失敗するケースもあることを理解しておく必要があります。
成功の鍵は、1日20時間の装着時間を守ること、マウスピースの交換スケジュールを適切に管理すること、そして徹底した口腔ケアを習慣化することです。
また、お子さん自身のモチベーション維持と保護者のサポートも欠かせません。定期検診を欠かさず、治療後の保定期間もしっかり守ることで、理想の歯並びを長期的に維持できるでしょう。
お子さまの歯並びでお悩みのことがあれば、アーブル歯科クリニックにご相談ください。
著者情報
- アーブル歯科クリニック 院長 田中 雄一
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略歴
- 2007年日本大学松戸歯学部卒業
- 2007年日本大学松戸歯学部附属病院 臨床研修医
- 2008年~2014年一般開業医勤務
- 2014年アーブル歯科クリニック開院
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所属団体
- 日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座 非常勤
- 日本口腔インプラント学会
- 日本顎咬合学会
- 日本臨床歯周病学会
- AICインプラント専門医
- BPSデンチャークリニカル 認定医
- スウェーデン歯科学会
- 口腔感染症予防外来認定医
- POIC研究会 ホームケアアドバイザー認定
- 私立アスクかなでのもり第二保育園 嘱託医
- ブレーメン津田沼保育園 嘱託医
- リトルガーデンインターナショナルスクール新習志野校 嘱託医
- クニナ奏の杜保育園 嘱託医
- 習志野市立谷津小学校 学校歯科医
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矯正医
- 田中 慶子
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所属団体
- 日本矯正歯科学会 認定医
- インビザライン 認定医