インビザラインファーストのメリットについて解説
お子さんの歯並びが気になりはじめたら、早めの矯正治療を検討する時期かもしれません。特に小学生のうちから始められる「インビザラインファースト」は、従来の矯正装置とは一線を画す特徴を持っています。
透明なマウスピースで見た目を気にせず矯正できる点が、成長期の子どもたちに大きな安心をもたらします。でも実際のところ、本当に子どもの矯正に適しているのでしょうか?今回はインビザラインファーストのメリットと治療の際の注意点について解説していきます。
- インビザラインファーストとは?子ども向け矯正の新たな選択肢
- インビザラインファーストの7つのメリット向いているお子さんの特徴
- インビザラインファーストの注意点と制約
- インビザラインファーストの費用と治療の流れ
- まとめ:お子さんの笑顔のために早めの相談を
インビザラインファーストとは?子ども向け矯正の新たな選択肢
インビザラインファーストは、小学生(7〜10歳頃)を対象とした透明なマウスピース型矯正装置です。乳歯から永久歯への生え変わり時期に使用することで、顎の成長を活かしながら歯並びを整えていきます。
従来の矯正装置と大きく異なるのは、金属のワイヤーやブラケットを使わず、透明で取り外し可能なマウスピースを使用する点です。これにより、見た目の心配や食事制限などのストレスを軽減できます。
特筆すべきは、インビザラインファーストでは「歯列の拡大」と「歯並びの調整」を同時に行えることです。従来の小児矯正では、これらを分けて行うことが多かったのですが、同時進行できることで治療期間の短縮が期待できます。
アゴの骨の成長が活発な時期に治療を始めることで、将来的な歯並びの問題を予防したり、症状を軽減したりする効果も期待できるのです。
では、具体的にどんなメリットがあるのでしょうか?
インビザラインファーストの7つのメリット
1. 透明で目立たない見た目
小学生は友達の目を気にする年頃です。透明なマウスピースは装着していてもほとんど目立ちません。学校生活で「矯正している」と気づかれにくいため、お子さんの心理的負担を大きく軽減できます。
写真撮影の際も、金属の装置が写ることなく、自然な笑顔を残せるのは大きな利点です。特に思春期に差し掛かる高学年のお子さんにとって、見た目への配慮は非常に重要なポイントになります。
「装置が目立つから嫌だ」という理由で矯正治療を拒否するお子さんも多いですが、インビザラインファーストならそうした心配はほとんどありません。
2. 痛みや違和感が少ない
マウスピース1枚あたりの歯の移動量は最大でも0.25mmと微細に設定されています。そのため、従来のワイヤー矯正と比べて痛みが少なく、お子さんにとって大きなストレスにならないのが特徴です。
また、金属のワイヤーがないため、口内炎ができるリスクも低減されます。お子さんが「痛い」と訴えることが少なくなれば、矯正治療に対する前向きな姿勢も維持しやすくなるでしょう。
痛みの少なさは、治療を継続するモチベーション維持にも大きく貢献します。
3. 取り外し可能で歯磨きが容易
インビザラインファーストは食事や歯磨きの際に取り外すことができます。従来の固定式装置では歯磨きが難しく、虫歯や歯周病のリスクが高まる懸念がありましたが、マウスピース型なら通常通りの歯磨きが可能です。
特に虫歯になりやすい小学生の時期には、口腔ケアのしやすさは大きなメリットといえるでしょう。また、食事の際に装置を外せるため、食べ物の制限もなく、成長期に必要な栄養をしっかり摂取できます。
歯磨き指導も通常通り行えるため、矯正治療と同時に正しい歯磨き習慣を身につけられるのも良い点です。
4. 通院頻度が少なめで負担軽減
インビザラインファーストでは、1週間ごとのマウスピース交換はご自宅で行うため、通院は1.5〜2ヶ月に1回程度と比較的少なめです。これにより、保護者の方の送迎負担や、お子さんの学校や習い事との両立がしやすくなります。
また、通院回数が少ないことで、治療全体の負担感も軽減されます。特に遠方から通院される場合や、ご家族のスケジュール調整が難しい場合には大きなメリットとなるでしょう。
定期的な通院は必要ですが、緊急でない限り予定通りに進めやすいのも安心ポイントです。
5. 抜歯矯正を回避できる可能性が向上
成長期のお子さんは、矯正装置によりアゴの骨の成長を活性化できます。インビザラインファーストでは、歯列の拡大と歯並びの調整を同時に行うことで、永久歯が生えるスペースを確保しやすくなります。
これにより、将来的に永久歯を抜かずに矯正できる可能性が高まります。お子さんの成長に合わせた治療計画を立てることで、より自然な歯並びを目指せるのです。
歯を残せることは、将来的な口腔機能の維持にもつながる重要なポイントです。
6. 将来の第2期治療をより短く簡単に
インビザラインファーストによる第1期治療(小学生の時期)で歯並びの土台作りをしておくことで、永久歯が生えそろった後の第2期治療(中学生以降)をより短期間で、より簡単に行える可能性が高まります。
早期から一貫して歯並びを管理することで、最終的により美しい歯並びが期待できるのです。また、第2期治療を希望されない場合でも、第1期治療だけである程度の改善が見込めることもあります。
長期的な視点で見ると、トータルの治療期間短縮や費用面でもメリットが生じる可能性があります。
7. 金属アレルギーの心配がない
インビザラインファーストは、特殊な医療用プラスチック素材でできています。金属を使用していないため、金属アレルギーのあるお子さんでも安心して使用できます。
また、プラスチック素材は口腔内での違和感も少なく、スポーツや楽器演奏などの活動も通常通り楽しめます。お子さんの生活スタイルを大きく変えることなく矯正治療を進められるのは大きな利点です。
安全性の高い素材を使用しているため、アレルギー反応などの心配が少ないのも安心ポイントです。
インビザラインファーストの注意点と制約
メリットが多いインビザラインファーストですが、いくつかの注意点も理解しておく必要があります。
1. 装着時間の自己管理が必要
効果を得るためには1日20時間以上の装着が必要です。取り外しができる便利さがある一方で、お子さん自身のモチベーションや保護者の方のサポートが重要になります。
「歯並びを治したい」という意欲がお子さんにあるかどうかが、治療成功の大きな鍵を握ります。装着時間が不足すると、予定通りに歯が動かず、治療期間が延びる可能性もあります。
お子さんと一緒に目標を共有し、継続的に励ましながら治療を進めることが大切です。
2. 適応できない症例もある
歯並びの状態や年齢によっては、インビザラインファーストが適応できない場合もあります。特に小学校高学年になると、治療のタイミングとして適さないケースが増えてきます。
また、重度の不正咬合や顎の骨格的な問題がある場合は、他の矯正方法が推奨されることもあります。専門医による診断が必要不可欠です。
お子さんの歯並びが気になる場合は、早めに矯正歯科を受診して適切な治療計画を立てることをおすすめします。
3. 治療可能期間が限られている
インビザラインファーストでマウスピースが作成できる契約期間は1年半と限られています。そのため、永久歯が生えそろう12歳頃までの長期管理には、他の装置との併用が必要になることがあります。
当院では、インビザラインファースト以外の期間は、歯列矯正用咬合誘導装置(プレオルソ)やリテーナー(保定装置)を必要に応じて併用し、永久歯の生え変わり期間全体を管理しています。
総合的な治療計画のもとで、お子さんの成長に合わせた最適な装置を選択することが重要です。
4. 費用面での考慮
インビザラインファーストは、従来の矯正装置と比較して費用が高めに設定されています。当院では、インビザラインファースト45万円+税、保定装置5万円+税の合計50万円+税となっており、別途調整費として5000円+税がかかります。
ただし、将来的な第2期治療の負担軽減や、抜歯を回避できる可能性を考慮すると、長期的な視点では費用対効果の高い選択肢となる場合もあります。
インビザラインファーストの費用と治療の流れ
インビザラインファーストによる治療は、大きく分けて以下のような流れで進みます。
第1期治療(小学生の時期)
上顎1番(前歯)が生えた時点で、まず歯列矯正用咬合誘導装置(プレオルソ)による準備矯正を行います。その後、上顎2番が生えたらインビザラインファーストを最大1年半使用し、歯並びの土台作りを進めていきます。
この時期に歯列の拡大と前歯の整列を同時に行うことで、永久歯が生えるスペースを確保します。通院は1.5〜2ヶ月に1回程度で、マウスピースは1週間ごとにご自宅で交換します。
お子さんの成長に合わせて細かく調整しながら進めていくため、定期的な通院が重要です。
永久歯が生えそろうまで
インビザラインファーストでの治療後は、永久歯が生えそろうまでリテーナー(保定装置)を使用します。この期間も定期的な通院で永久歯の生え変わりをサポートし、歯並びの安定を図ります。
永久歯の生え変わりは個人差がありますが、通常12歳頃までこの管理を継続します。
第2期治療(中学生以降)
永久歯が生えそろった後、必要に応じて第2期治療を行います。第1期治療で十分な土台ができていれば、第2期治療はより短期間で効果的に進められる可能性があります。
第2期治療は希望制ですが、より良い歯並びと噛み合わせを得るために推奨されることが多いです。
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インビザラインファーストは、透明で取り外し可能、痛みが少ないなど、従来の矯正装置にはない多くのメリットを持っています。特に見た目を気にする年頃のお子さんや、虫歯リスクを心配される保護者の方に適した選択肢と言えるでしょう。
ただし、装着時間の自己管理や適応条件など、いくつかの制約もあります。お子さんの歯並びで気になることがあれば、早めに矯正歯科を受診して相談することをおすすめします。
当院では、7歳頃(小学2年生)からの矯正治療開始を推奨しています。成長期のタイミングを逃さず治療を始めることで、将来的な歯並びの問題を予防し、お子さんに「キレイな歯並び」と「素敵な笑顔」をプレゼントできるよう、サポートいたします。
お子さんの歯並びについてのご質問やご相談は、いつでもお気軽にアーブル歯科クリニックまでお問い合わせください。専門的な観点から、お子さん一人ひとりに最適な矯正プランをご提案いたします。
著者情報
- アーブル歯科クリニック 院長 田中 雄一
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略歴
- 2007年日本大学松戸歯学部卒業
- 2007年日本大学松戸歯学部附属病院 臨床研修医
- 2008年~2014年一般開業医勤務
- 2014年アーブル歯科クリニック開院
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所属団体
- 日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座 非常勤
- 日本口腔インプラント学会
- 日本顎咬合学会
- 日本臨床歯周病学会
- AICインプラント専門医
- BPSデンチャークリニカル 認定医
- スウェーデン歯科学会
- 口腔感染症予防外来認定医
- POIC研究会 ホームケアアドバイザー認定
- 私立アスクかなでのもり第二保育園 嘱託医
- ブレーメン津田沼保育園 嘱託医
- リトルガーデンインターナショナルスクール新習志野校 嘱託医
- クニナ奏の杜保育園 嘱託医
- 習志野市立谷津小学校 学校歯科医
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矯正医
- 田中 慶子
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所属団体
- 日本矯正歯科学会 認定医
- インビザライン 認定医