拡大床とマウスピース矯正の併用がもたらす効果とは
お子さんの歯並びが気になりはじめたとき、どのような矯正方法を選べばよいのか迷われる方は少なくありません。特に近年では、従来の金属ブラケットを使った矯正だけでなく、マウスピース型矯正や拡大床など、さまざまな選択肢があります。
実は、これらの矯正方法は単独で使うだけでなく、併用することでより効果的な治療が可能になるケースがあるのです。特に「拡大床」と「マウスピース矯正」の組み合わせは、お子さんの成長期に合わせた効果的なアプローチとして注目されています。
当院でも多くのお子さんに対して、この併用療法を取り入れた矯正治療を行っています。その効果と実際の治療法について詳しくご説明します。

- 拡大床とマウスピース矯正それぞれの特徴と役割
- 拡大床とマウスピース矯正を併用するメリット
- 拡大床とマウスピース矯正の効果的な併用法の実際
- 拡大床とマウスピース矯正の併用療法の費用と期間
- 拡大床とマウスピース矯正の併用療法の注意点とリスク
- まとめ:お子さんに最適な矯正治療を選ぶために
拡大床とマウスピース矯正それぞれの特徴と役割
まず、拡大床とマウスピース矯正それぞれの特徴を理解することが大切です。両者はまったく異なる目的と効果を持っているからこそ、併用することで相乗効果が生まれるのです。
拡大床の基本メカニズムと効果
拡大床は、主に上顎や下顎の歯列を横方向に拡げるための装置です。プラスチック製のプレート(床)と金属製のワイヤー、中央にあるネジで構成されています。このネジを定期的に回すことで、少しずつ顎を広げていきます。
特に5〜10歳頃の成長期のお子さんに効果的で、骨が柔らかいこの時期に使用することで、歯が綺麗に並ぶためのスペースを確保できます。顎の成長を促進させる効果もあるため、将来的な永久歯の萌出スペースを作り出すことができるのです。
拡大床のメリットとして、取り外しができる点が挙げられます。食事の時には外せるので、虫歯のリスクが低減します。また、学校に持っていく必要がなく、家にいる時と寝る時だけ使用できるため、お子さんの負担が少ないのも特徴です。
マウスピース矯正の仕組みと利点
一方、マウスピース矯正(プレオルソやインビザラインなど)は、透明な樹脂でできたマウスピースを装着することで歯を少しずつ動かしていく方法です。コンピューターで設計された複数のマウスピースを順番に使用していくことで、理想的な歯並びへと導きます。
マウスピース矯正の最大の特徴は、目立ちにくいことです。透明なマウスピースは装着していてもほとんど目立ちません。また、取り外しが可能なため、食事や歯磨きの際には外すことができ、口腔衛生を保ちやすいという利点もあります。
当院で提供している「プレオルソ」は、5〜10歳のお子さん向けのマウスピース型矯正装置で、咬み合わせと歯並びを改善しながら、口呼吸から鼻呼吸への改善も促します。シリコン素材の柔らかいマウスピースなので、痛みがほとんどなく、お子さんでも使いやすいのが特徴です。
拡大床とマウスピース矯正を併用するメリット
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では、なぜ拡大床とマウスピース矯正を併用するのが効果的なのでしょうか。それぞれの装置が持つ特性を活かすことで、単独使用よりも優れた結果が期待できるのです。
顎の発達と歯の移動を同時にアプローチ
拡大床とマウスピース矯正を併用する最大のメリットは、「顎の発達促進」と「個々の歯の移動」という2つの異なるアプローチを同時に行える点です。拡大床で顎の成長を促し、歯が並ぶスペースを確保しながら、マウスピースで個々の歯を理想的な位置に誘導していきます。
特に成長期のお子さんの場合、顎の発達を促すことで将来的な歯並びの問題を予防できる可能性が高まります。拡大床で十分なスペースを確保した上でマウスピース矯正を行うことで、抜歯の必要性が減少するケースも少なくありません。
治療期間の短縮と効率化
併用療法のもう一つの大きなメリットは、治療期間の短縮です。拡大床で顎のスペースを確保した後にマウスピース矯正を行うよりも、適切なタイミングで両方を併用することで、全体の治療期間を短くできる可能性があります。
例えば、当院では拡大床で顎の幅を広げている間に、同時にプレオルソを使って歯の位置の改善や口腔周囲の筋肉のバランスを整えていきます。これにより、次のステップである本格矯正の期間を短縮できることがあるのです。

拡大床とマウスピース矯正の効果的な併用法の実際
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理論上のメリットは理解できても、実際にどのように併用していくのか気になる方も多いでしょう。ここでは、当院で行っている拡大床とマウスピース矯正の効果的な併用方法をご紹介します。
年齢と症状に応じた併用プラン
併用療法は、お子さんの年齢や症状によって最適なプランが異なります。一般的には以下のようなアプローチを取ることが多いです。
5〜7歳の場合は、まずプレオルソからスタートし、歯列の状態によって拡大床を併用します。この年齢では、口腔周囲の筋肉のバランスを整えることが重要で、プレオルソがその役割を担います。拡大床は必要に応じて追加し、永久歯のためのスペース確保を行います。
8〜10歳になると、歯列不正の状態によっては、拡大床と本格的なマウスピース矯正(インビザライン)の併用も検討します。この年齢では、永久歯への生え変わりが進むため、より精密な歯の移動が必要になるケースが増えてきます。

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装着スケジュールの最適化
拡大床とマウスピース矯正を併用する際の装着スケジュールも重要です。当院では、以下のようなスケジュールを基本としています。
拡大床は就寝時を含め、家にいる時間に合計10〜12時間の装着を推奨しています。一方、プレオルソは日中1時間以上と就寝時の装着が基本です。インビザラインの場合は、1日16〜22時間の装着が必要になります。
これらの装置を効果的に併用するためには、生活リズムに合わせた装着計画が重要です。例えば、学校から帰宅後は拡大床を装着し、就寝前にプレオルソに切り替えるといった具合です。お子さんの生活スタイルや性格に合わせて、無理なく続けられるスケジュールを組むことが成功の鍵となります。
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定期的な調整と経過観察
併用療法では、定期的な調整と経過観察が欠かせません。当院では約2ヶ月に1回のペースで通院していただき、拡大床の調整やマウスピースの効果確認を行います。
拡大床は専門的な調整が必要ですし、マウスピース矯正も計画通りに進んでいるかのチェックが重要です。また、お子さんの成長に合わせて治療計画を微調整することもあります。定期的な通院を通じて、最適な治療効果を引き出していきます。
拡大床 説明動画
プレオルソ 説明動画
インビザラインファースト 説明動画
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拡大床とマウスピース矯正の併用療法の費用と期間
※税込
項目 金額 補足 プレオルソ 初回年間契約 ¥38,500 1年ごとの契約 プレオルソ 次年度再契約 ¥33,000 継続する場合 本格矯正(拡大床を含む) ¥330,000〜¥495,000 症例により変動 プレオルソ → ワイヤー矯正 ¥330,000〜¥440,000 併用時は割引適用 プレオルソ → インビザライン ¥440,000〜 併用時は割引適用 矯正相談 無料 まずはご相談ください 精密検査(矯正診断) ¥33,000 契約前の検査 治療期間の目安
治療内容 期間の目安 備考 プレオルソ 1年契約を基本に継続を判断 効果・成長に応じて延長 本格矯正(拡大床・インビザラインなど) 約1年半〜2年半 症例・成長により前後 併用療法の場合 成長と状態により変動 適切なタイミングで併用すると短縮も可 治療後の経過観察 永久歯が生え揃うまで 定期チェックあり
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拡大床とマウスピース矯正の併用療法の注意点とリスク
どんな治療にもメリットだけでなく、注意点やリスクがあります。拡大床とマウスピース矯正の併用療法についても同様です。
装置の管理と使用時間の遵守
併用療法の最大の課題は、2つの装置を適切に管理し、指示された使用時間を守ることです。特にお子さんの場合、自己管理が難しいこともあるため、保護者のサポートが重要になります。
拡大床もマウスピースも、紛失や破損のリスクがあります。専用ケースに保管する習慣をつけることが大切です。また、装着時間が不足すると効果が十分に得られないため、日々の使用記録をつけるなどの工夫も有効です。
一般的な矯正治療のリスクと副作用
矯正治療全般に共通するリスクとして、装置による不快感や痛み、治療期間の延長可能性、虫歯や歯周病のリスク増加などがあります。また、歯根吸収、歯肉退縮、金属アレルギー、顎関節症状、後戻りなどのリスクも考慮する必要があります。
これらのリスクを最小限に抑えるためには、定期的な通院と歯科医師の指示に従うことが重要です。また、日々の丁寧な歯磨きや口腔ケアも欠かせません。
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まとめ:お子さんに最適な矯正治療を選ぶために
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拡大床とマウスピース矯正の併用療法は、お子さんの成長期に合わせた効果的なアプローチとして注目されています。顎の発達促進と個々の歯の移動という異なるアプローチを同時に行うことで、より効率的な治療が期待できます。
しかし、すべてのお子さんに同じ治療法が適しているわけではありません。年齢や歯列の状態、生活スタイルなどによって、最適な治療法は異なります。まずは矯正相談で専門医の診断を受け、お子さんに最適な治療計画を立てることが大切です。
当院では、お子さん一人ひとりの状態に合わせた矯正治療を提供しています。拡大床とマウスピース矯正の併用についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ無料矯正相談にお越しください。お子さんの健やかな成長と美しい歯並びをサポートいたします。
詳細については、アーブル歯科クリニックのページをご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。

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著者情報
- アーブル歯科クリニック 院長 田中 雄一
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略歴
- 2007年日本大学松戸歯学部卒業
- 2007年日本大学松戸歯学部附属病院 臨床研修医
- 2008年~2014年一般開業医勤務
- 2014年アーブル歯科クリニック開院
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所属団体
- 日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座 非常勤
- 日本口腔インプラント学会
- 日本顎咬合学会
- 日本臨床歯周病学会
- AICインプラント専門医
- BPSデンチャークリニカル 認定医
- スウェーデン歯科学会
- 口腔感染症予防外来認定医
- POIC研究会 ホームケアアドバイザー認定
- 私立アスクかなでのもり第二保育園 嘱託医
- ブレーメン津田沼保育園 嘱託医
- リトルガーデンインターナショナルスクール新習志野校 嘱託医
- クニナ奏の杜保育園 嘱託医
- 習志野市立谷津小学校 学校歯科医
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矯正医
- 田中 慶子
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所属団体
- 日本矯正歯科学会 認定医
- インビザライン 認定医



























