プレオルソの効果とは?
お子さんの歯並びが気になり始めたとき、どのような矯正方法が最適なのか悩まれる保護者の方は多いでしょう。特に近年注目を集めている「プレオルソ」という小児矯正装置について、詳しく知りたいとお考えではないでしょうか。
プレオルソは5~10歳の小児を対象としたマウスピース型の矯正装置で、歯並びの悪化を予防し、お口の機能を改善する効果が期待できます。従来の矯正装置と比べて装着時間が短く、取り外しも簡単なため、お子さんの負担が少ないのが特徴です。
当院では多くのお子さんがプレオルソによる矯正治療を受けており、適切な時期に始めることで永久歯の歯並びが自然と整うケースを数多く見てきました。
今回はプレオルソで獲れる効果について解説していきます。
プレオルソとは?小児矯正における役割と特徴
プレオルソは、お口周りの筋肉や顎が成長途中のお子さん(5~10歳)を対象としたマウスピース型の矯正装置です。やわらかいシリコン素材でできており、お子さんのお口に優しい設計になっています。
一般的な矯正治療のイメージは「歯並びを整える」ことかもしれませんが、プレオルソの主な目的はそこにはありません。プレオルソは歯並びを悪くする根本的な原因を取り除き、将来的な歯並びの悪化を予防することが目的なのです。
プレオルソの装着時間は、日中1時間と就寝中のみです。学校での装着は必要なく、お食事や歯磨きの際は外すことができるため、お子さんの日常生活への影響を最小限に抑えられます。
プレオルソによる治療では、装置の装着に加えて、お口周りの筋肉を鍛えるトレーニング(MFT:口腔筋機能訓練)も併せて行います。これにより、口呼吸や指しゃぶりなど、歯並びが悪くなる原因となる習慣を改善していきます。
プレオルソの3つの主な効果
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悪習慣の改善
歯並びが悪くなる原因の一つに、口呼吸や指しゃぶり、舌を前に出す癖などの「悪習慣」があります。プレオルソを装着することで、お口周りの筋肉が鍛えられ、これらの悪習慣を改善する効果が期待できます。
特に舌の位置を正しく誘導する設計になっているため、装着するだけで自然と舌が上顎に接するようになります。これにより、正しい舌の位置を習得し、口呼吸から鼻呼吸への改善も促します。
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歯並びの悪化を予防
プレオルソには顎の成長を促す効果があるため、顎のバランスが整います。これにより、永久歯が生えるためのスペースを確保できるので、将来的な歯並びの悪化を予防できます。
お子さんの顎は成長途中であり、この時期に適切な介入をすることで、顎の発育を正しい方向へ導くことができるのです。結果として、永久歯が正しい位置に生えやすくなります。
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矯正治療後の後戻りを防止
将来的に本格的な矯正治療を行った場合でも、悪習慣が改善されていなければ、せっかく整えた歯並びが後戻りしてしまうことがあります。
プレオルソで小さい頃から悪習慣を改善しておくことで、将来の矯正治療の効果を長く維持できる可能性が高まります。これは長期的に見ても、とても重要なポイントです。
プレオルソのメリットとデメリット
プレオルソには様々なメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。治療を検討される際には、両方をしっかりと理解した上で判断することが大切です。
プレオルソの5つのメリット
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装着時間が短い
プレオルソの装着時間は日中1時間と就寝中のみです。ワイヤー矯正のように常時装着する必要がないため、お子さんの負担が少なく、ストレスなく治療を続けられます。
特に小さなお子さんにとって、装着時間が短いことは治療を継続する上で大きなメリットとなります。
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取り外しができる
プレオルソはマウスピース型の装置のため、自由に取り外すことができます。食事や歯磨きの際に外せるので、食べ物の制限もなく、口腔内を清潔に保ちやすいというメリットがあります。
固定式の矯正装置では難しい細部までの歯磨きも、プレオルソなら普段通りに行えるため、虫歯や歯周病のリスクを抑えられます。
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痛みが少ない
プレオルソは歯を動かすことが目的ではないため、ワイヤー矯正のような痛みがほとんどありません。また、柔らかいシリコン素材でできているため、お口の中を傷つける心配も少ないです。
痛みに敏感なお子さんでも、比較的抵抗なく装着できることが多いです。
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虫歯や歯周病のリスクが低い
取り外しができるため、食事や歯磨きの際に装置を外すことができます。これにより、固定式の矯正装置に比べて、虫歯や歯周病のリスクを低減できます。
特に乳歯と永久歯が混在する時期は、歯磨きが難しくなりがちですが、プレオルソならその心配が少なくなります。
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将来的な矯正治療の負担軽減
早期にプレオルソで適切な介入を行うことで、将来的な本格的矯正治療の期間短縮や、抜歯の回避につながる可能性があります。これは時間的にも経済的にも大きなメリットとなります。
子どもの頃から正しい口腔機能を育むことで、将来の矯正治療がよりスムーズに進むことが期待できるのです。
プレオルソの3つのデメリット
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すべての症例に適応できるわけではない
プレオルソは主に機能的な問題の改善に効果を発揮しますが、重度の骨格的な問題や、すでに永久歯が多く生えている場合には、効果が限定的になることがあります。
お子さんの状態によっては、他の矯正方法が適している場合もあるため、専門医による適切な診断が重要です。
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歯並びの調整はできない
プレオルソは歯を動かして歯並びを整えることが目的ではないため、すでに生えている歯の位置を大きく動かすことはできません。あくまで予防的な治療であり、すでに歯並びが悪化している場合は、別の矯正方法が必要になることがあります。
これは誤解されやすいポイントですので、治療前にしっかりと理解しておくことが大切です。
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装着時間によって効果が左右される
プレオルソの効果は、指示通りに装着できるかどうかに大きく依存します。お子さんが装置を嫌がったり、装着を忘れたりすると、十分な効果が得られない可能性があります。
保護者の方のサポートと、お子さん自身の協力が不可欠です。
プレオルソ治療の流れと成功のポイント
プレオルソによる治療は、いくつかのステップに分けて進められます。それぞれの段階で何が行われるのか、また治療を成功させるポイントについて解説します。
プレオルソ治療の基本的な流れ
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カウンセリング
まずは保護者の方とお子さんに来院いただき、現在の状態や気になる点についてお話を伺います。お子さんのお口の状態を確認し、プレオルソが適している場合は、治療の目的や方法、期間、費用などについて詳しく説明します。
この段階でご不明な点があれば、遠慮なくご質問ください。治療への理解を深めることが、その後の治療成功につながります。
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精密検査
治療を進める場合は、レントゲン撮影や口腔内写真の撮影、歯型の採取などを行います。これらのデータをもとに、お子さんの現在の状態を詳細に分析し、最適な治療計画を立てていきます。
当院ではデジタル印象採得装置(アイテロ5D)を導入しており、従来の型取りよりも正確で快適に歯型のデータを取得できます。
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治療計画の立案
検査結果をもとに、お子さん一人ひとりに合わせた治療計画を立案します。プレオルソのタイプやサイズの選定、装着スケジュール、併用するトレーニングの内容などを決定します。
お子さんの成長段階や生活習慣も考慮し、無理なく続けられる計画を心がけています。
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治療開始
プレオルソの装着方法や、お手入れの仕方について詳しく説明します。また、口腔筋機能訓練(MFT)の方法も指導します。
最初は短時間から始め、徐々に装着時間を延ばしていくことで、お子さんが装置に慣れやすくなります。
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定期的な経過観察
1~2ヶ月ごとに来院いただき、治療の進行状況を確認します。必要に応じて装置の調整や、トレーニング内容の見直しを行います。
この定期的なチェックが、治療効果を最大化するために非常に重要です。
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保定期間
目標とする改善が見られた後も、しばらくの間は装置を使用して状態を安定させます。その後、お子さんの成長に合わせて、次のステップ(必要であれば本格的な矯正治療)に進むかどうかを検討します。
プレオルソ治療成功のための3つのポイント
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適切な時期に開始する
プレオルソは5~10歳頃が最適な時期とされていますが、お子さん一人ひとりの発育状況によって最適なタイミングは異なります。早すぎても遅すぎても効果が限定的になることがあるため、気になる点があれば早めに相談することをおすすめします。
特に永久歯が多く生え揃う前の時期が、介入の効果が高いとされています。
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保護者の方のサポートと理解
お子さんだけでプレオルソの治療を続けるのは難しいものです。保護者の方の適切なサポートと理解が、治療成功の大きな鍵となります。
装着の声かけや、トレーニングの手伝い、定期的な通院の維持など、日常的なサポートが重要です。また、すぐに目に見える変化が現れないこともありますが、長期的な視点で見守ることが大切です。
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お子さん自身の協力と習慣化
お子さん自身が治療の意義を理解し、積極的に取り組む姿勢も重要です。年齢に応じた説明を行い、「どうして装置をつけるのか」「どんないいことがあるのか」を伝えることで、モチベーションを高めることができます。
また、装着を日常のルーティンに組み込むことで、忘れずに続けやすくなります。例えば、「お風呂の後」「寝る前の絵本の時間」など、生活の中で定位置を作ることが効果的です。
プレオルソと他の小児矯正法の比較
小児矯正にはプレオルソ以外にも様々な方法があります。それぞれの特徴を比較することで、お子さんに最適な治療法を選ぶ参考にしていただければと思います。
プレオルソと床矯正の違い
床矯正とプレオルソは、どちらも取り外し可能な装置ですが、目的や仕組みが異なります。
床矯正は主に「歯列のスペース拡大」を目的とした装置で、拡大ネジが組み込まれており、顎の幅を物理的に広げることができます。一方、プレオルソは「筋機能訓練による自然な成長誘導」が主な目的です。
床矯正は主に6歳以降の混合歯列期に適しており、特に前歯の並びや下顎の狭窄など、スペース不足によるトラブルに効果的です。プレオルソは5~8歳くらいの低年齢層に向いており、口呼吸や舌癖などの機能的な問題の改善に効果を発揮します。
どちらが適しているかは、お子さんの症状や年齢によって異なりますので、専門医による診断が重要です。
プレオルソとワイヤー矯正の使い分け
ワイヤー矯正は歯に直接ブラケットを装着し、ワイヤーの力で歯を動かす方法です。歯の位置を細かく調整できる反面、装置が目立ちやすく、食事制限や歯磨きの難しさなどのデメリットがあります。
プレオルソは主に予防的・機能的な改善を目的としており、すでに生えている歯の位置を大きく動かすことはできません。一方、ワイヤー矯正は歯の位置を積極的に動かすことができるため、すでに歯並びが悪化している場合に適しています。
小児矯正では、まずプレオルソなどで機能改善や予防的な治療を行い、必要に応じて後にワイヤー矯正を行うという段階的なアプローチも一般的です。
インビザライン・ファーストとの比較
インビザライン・ファーストは、8歳頃から使用できるカスタムメイド型のマウスピース矯正です。コンピューター設計により、お子さん一人ひとりの歯に合わせて製作されます。
プレオルソがプリフォームタイプ(既製品を温めて調整する)であるのに対し、インビザライン・ファーストは完全オーダーメイドです。そのため、より精密な歯の移動が可能ですが、その分コストも高くなります。
プレオルソは主に機能改善を目的としているのに対し、インビザライン・ファーストは歯の位置の調整も行えるため、すでに歯並びに問題がある場合に適しています。
当院では両方の治療法を提供しており、お子さんの状態に合わせて最適な方法をご提案しています。
小児矯正を始めるタイミングと親御さんの役割
小児矯正を始めるタイミングは、お子さんの歯並びの状態や成長段階によって異なります。また、治療の成功には親御さんの適切なサポートが欠かせません。
小児矯正の最適な開始時期
「矯正治療に早すぎることはない」というのが、小児矯正の基本的な考え方です。特に機能的な問題(口呼吸、舌癖など)は、早期に改善することで将来的な歯並びの悪化を防ぐことができます。
一般的には、以下のようなタイミングで小児矯正を検討することが多いです:
- 5~6歳頃:機能的な問題(口呼吸、舌癖など)の改善を目的とした早期介入
- 6~9歳頃:前歯が生え変わる時期の不正咬合の改善
- 9~12歳頃:永久歯が生え揃う前の歯列・顎の調整
ただし、これはあくまで目安であり、お子さん一人ひとりの発育状況によって最適なタイミングは異なります。気になる点があれば、早めに専門医に相談することをおすすめします。
当院では0歳からのむし歯予防をはじめ、お子さんのお口の健康に関するあらゆるご相談に対応しています。矯正治療が必要かどうかを見極めるためにも、定期的な検診をお勧めします。
親御さんができるサポートと心構え
小児矯正の成功には、親御さんの適切なサポートが不可欠です。以下のポイントを心がけていただくと、治療がよりスムーズに進みます:
- 日々の装着の声かけと確認
- トレーニングの手伝いと励まし
- 装置の管理とお手入れのサポート
- 定期的な通院の維持
- お子さんのモチベーション維持のための工夫
また、以下のような心構えも大切です:
- すぐに目に見える変化が現れないこともあるため、長期的な視点で見守る
- お子さんを責めるのではなく、励ましながら一緒に取り組む姿勢を持つ
- 疑問や不安があれば、遠慮なく医師に相談する
- お子さん自身が治療の意義を理解できるよう、年齢に応じた説明を心がける
当院では、親御さんへのサポートも大切にしています。治療中のご不安やご質問にも丁寧にお答えしますので、お気軽にご相談ください。
まとめ:プレオルソで叶える健やかな成長と美しい歯並び
プレオルソは、お子さんの歯並びの悪化を予防し、正しい口腔機能を育むための優れた小児矯正装置です。装着時間が短く、取り外しも簡単なため、お子さんの負担が少ないのが大きな特徴です。
プレオルソの主な効果は、悪習慣の改善、歯並びの悪化予防、矯正治療後の後戻り防止の3つです。特に成長期のお子さんにとって、正しい口腔機能を身につけることは、将来的な歯並びだけでなく、顎の発育や全身の健康にも良い影響を与えます。
ただし、プレオルソはすべての症例に適応するわけではなく、お子さんの状態によっては他の矯正方法が適している場合もあります。専門医による適切な診断と、お子さんに合った治療計画の立案が重要です。
小児矯正の成功には、適切な時期の開始、保護者の方のサポートと理解、お子さん自身の協力と習慣化が大切です。当院では、お子さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療をご提案し、保護者の方とお子さんをしっかりとサポートしています。
お子さんの歯並びや噛み合わせが気になる方は、お早めにご相談ください。アーブル歯科クリニックでは、矯正専門の歯科医師による無料相談を実施しています。お子さんの健やかな成長と美しい歯並びのために、私たちがお手伝いします。
詳しい情報や予約については、アーブル歯科クリニックの公式サイトをご覧いただくか、お電話にてお問い合わせください。